家族で外食をした後、バス亭にみんなで並んだ。
バスは行ってしまった直後のようで、私たち家族の前に一人の女性が
うつむいてスマホをいじって、バス停のベンチに座っていた。
バスはあと10分ほど待たないといけないらしい。
2番目なので座席好きなところ座れるな~。
なんて考えながら。
ちょっと寒くなってきた秋の夜、子供たちは「早く乗りた~い」とごねだし、
月がきれいだよ~なんてなんとか気を紛らわせようと周りを眺めていたら。
先ほど、先頭にならぶベンチの女性に、スカーフを被った女性が何かを見せて話しかけていた。
あ、この人一人じゃなかったんだ。
とふと早とちりをして、あまり見るのもいけないかなと顔をそらしたのち、
子供達と引き続き話をしていたら、
そのスカーフの女性が私たちのほうに来た。
そして、無言でカードのようなものを私たちの目の前に差し出す。
ハート型で、ラミネート加工された、紙。
女性は東南アジア系だろうか。
10代後半か・・・20代前半。幼いと若いの間くらいの風貌。
差し出されたハートの紙には、
ざっくりと、次のようなことが書いてあった。
「私は仕事が見つかりません。
なので、お菓子を売っています。
買っていただけませんか」
つたない文字の日本語。漢字もちゃんと、おりまぜて書いてあった。
紙を見ると同時に、女性が脇に抱えている紙袋に気が付き、
中身がちらっと見えた。
手作りっぽい。
それをひとつひとつ、ラッピングして持ってきてるんだ。
私は瞬時にいろいろと考えを巡らせた結果、
「あ~なるほど。・・・・ごめんなさい」
と言った。
金額を聞こうかなともちょっとだけ思ったけど、聞いたら断れなくなりそう。
子供達は「な~に?どういうこと?」と私に質問してくる。
その外国人女性は、にこにこしていて、私の「ごめんなさい」の意味が分からなかったかなと思い、
私は再度、彼女の眼を見て、首を振って、ジェスチャーでわかってもらった。
私たち家族が断ったあと、
列の後ろの人たちに次々と声をかけていく女性の様子をみたが、
誰も買う様子はなかった。
その外国人女性は、私たちのバス停の列から去っていった。
子供達がまだ質問してきていたので、
女性がもう近くにいないことを確認してから(居ても日本語がわからなかったかもしれないが)
「お仕事がなくて困ってるから、作ったお菓子を買ってくださいって書いてあったんだよ」
と伝えたら
「お菓子たべた~い!」
だって。
そうだよね。
でも私は、どこでだれが作って何が入っているかわからないお菓子を
君たちに食べさせるわけにはいかんのだよ。
衛生面も怖い。
私一人だったら、買ってお菓子はごめんなさい(処分)するか、
お金だけあげてしまったかもしれない。
でも、夫はこういうのは断固拒否派。
私が私の手持ちで買ったとしても、やめてほしかったというだろう。
そして、子供たちにも、
得体のしれないものを簡単に買うこと、特に食品を口にすることは絶対にしてほしくないし。
私がしてしまったら、子供たちも「それでいいんだ」っていう価値観になってしまうかもしれない。
夫の手前と子供たちの見本としての対応と、それであの瞬間、私は即、「ごめんなさい」という選択をした。
もし何らかの形でお金を渡すことになっても、
本当にそれがその女性のためになるのか?って
疑問に思う自分もいたしね・・・
さらに。
食品を売るって、保健所の許可下りてるのかな?
食品を加工するときは、検便受けたりとかいろいろあるはず。
なんてこともめぐりめぐって・・・
気の毒だけど、心の中で応援することにしよう。
なんて心を痛めていたのですが、
ふと思い立って、ネットで「外国人女性、お菓子売り」なんて検索してみたら、
同じ事例の案件がたくさん出てきた!
断った人も買った人もそれぞれいて、
買った人も、食べた人、捨てた人もいて、
食べておいしくなかった人、美味しかった人、それぞれいた!
やっぱりみんな考えることは同じよね。
そして何より、この事例、全国で発生している様子。
組織的なものなのかもしれないし、自発的かもしれないとのこと。
誰かが「許可は得ているの?」と聞いたら、逃げて行ったとの記事もあったし。
なんなの~
と思ったりもしたけど、全国で起きていて、彼女たちの反応からみると
やっぱり「お金あげなくてよかった!」って思ってしまったのでした。
でも本当に困っているのなら、
このコロナ過で外国にいて心細いだろう彼女たちを
なんとかできないかなあ・・・とは思うだけだけど、
まだちょっとだけ、心配になりました。